ぐちぐち文句を言いながら、西野の周りから去っていく男子たち。
人壁がなくなって、私たちを遮るものは何もなくなったわけだけど──────。
一体、なんて話しかけたら。
悩んでいるうちに、教室はもぬけの殻に。
心臓が激しすぎて吐きそう。
頭の中にあらかじめセリフを書いて、ようやく口を開いた。
「バイトならしかたないね。リボンは、また今度でいいよ」
「……それ嘘だけど?」
「へ?」
「早く行くよ」
ガタッと立ち上がる西野。
「あっ。……えっ!?」
慌てて背中を追いかける。
もしかして、私との約束守るために嘘ついてくれた?
どうしよう、今からほんとに西野の部屋に行くんだ!
隣を歩いたら迷惑かと思って、少し距離をおいてついていった。
これはリボンのため、リボンのため……。
返してもらったら、真っ先に部屋を出て帰ればいい。



