「あ、あの、西野……」


おそるおそる制服の裾を引っ張った。



「り、リボンを返して……もらえませんか?」



そしたら西野、目を少しだけ細めて。




「俺とは、もう話さないんじゃなかったっけ?」

「あう……。でも、リボンないと、困るし……」

「家に置いてきた」

「えっ」

「利奈のリボン、俺の部屋にあるけど」



薄く笑う。

煽るような、試すような瞳。

優しさは、ぜんぜんない。



「返してほしい?」

「う、うん……」

「だったら、取りに来れば」

「えっ」



思考停止。




「放課後、俺の部屋。どーする?」