目を見てちゃんと言えた。


すぐに踵を返す。足元に散らばった雑巾たちをささっと元の場所に戻して、荷物をとりに教室へ走った。



教室を出たら、まっすぐ校門へと向かう。


駅へ向かいながら【用事思い出したから先に帰るね】と陸人にメッセージを送った。



帰りの電車で一人揺られていると、西野と雛子ちゃんのキスシーンが繰り返し頭の中で再生されて、そのたびに泣きそうになって。


唇を噛んで耐えながら、

これでよかったんだと何回も言い聞かせた。



結局リボンを返してもらいそびれたことに途中で気づいたけど、それはまた明日でいいやと思い直して、西野のことを打ち消すようにイヤホンを差しこむ。


流行りのものをテキトウに入れてた音楽フォルダ。

好きな音調で気に入ってたのに、歌詞をよく聞くと片想いや失恋ものばかりで、また泣けてきて。



何をしてもだめな私の1日は、そうやって幕をおろした。