転んで打ったとこだけじゃなくて胸も痛い。
西野のこと考えると、いつもそう。
鈴ちゃんの言うとおりだ。
いつまでも気持ちを引きずってるとツラくなる一方で、だから、早く断ち切らなきゃいけない。
簡単なこと。
自分から離れればいいだけ。
振り回されるのは、今日で終わりにしよう。
「ていうか……私、やっぱり
……西野のこと嫌い」
頭の中にセリフを並べて、ゆっくりとなぞる。
私を抱きしめてた西野の手が、わずかに震えたのがわかった。
「ほんとに大っ嫌い……。いつも人のこともてあそんで、最低だよ……」
西野の胸元を押すと、今度はあっけなく解放された。
静かな瞳が私を見下ろす。
揺れているように見えるのは、たぶん気のせい。
最後の1文。
これで終わりだから、早く言わなきゃ。
「西野と一緒にいたくない。……
から、もう話しかけないで」



