「利奈のこと待ってたけど、遅いからもう来ないと思った」
「だから、雛子ちゃんを代わりに呼んだんだ」
「そうじゃない。最後まで聞いて」
「聞きたくない!」
だって、西野がなんて言ったって
「ひ、雛子ちゃんとキスしてたことに……変わりはないじゃん……っ」
ああ、だめだな私。
感情的になって、こんなこと口走っちゃって。
これじゃ雛子ちゃんに嫉妬してるようにしか聞こえないよ。
「わ、私は……リボン返してもらいに来ただけなの」
慌ててセリフを付け足した。
「西野が普段、誰と何してようが構わないけど、指定された場所に行ったらキスしてたとか……誰だってびっくりするし」
逃げ出したのは、2人のこと邪魔しちゃだめだと
思ったからだよ。
ちょっと泣いちゃったのは、転んで痛かったからだよ。
……それでいいじゃん。
「邪魔してごめんね?」
だから、そんな風にまっすぐ見つめないで。



