無気力オオカミくんは、私だけに夢中。



う……わ。

熱いものが、体中にぶわっと広がった。



頭を整理する暇もなく、西野の瞳がまた誘ってくる。

あっという間に引き寄せられて、呑まれて……。




「っま、待って……!」


なけなしの理性とやらを振りしぼって、声をあげた。




「リップの真相、まだ聞いてないんだけど……っ。
どこから見つけてきたの?なんで、私が失くしたこと気づいたの?最初から知ってたの?」

「……」

「西野、」

「キスしたら思い出すかもよ」




しれっとした顔で、そんなことを言う。




「テキトーなこと言って誤魔化さないで」

「誤魔化してない。たぶん思い出すよ。……てか、無理にでも思い出させる」

「え、───んんっ」



口答えする暇も与えてもらえなかった。