「そーいう顔?」
「いじめたくなるような顔」
「はっ!?」
「拒否んないの?俺のこと」
私がうつむくのを阻止するように、下から見つめてくる。追いかけるんじゃなくて、すくい上げる感じ。
どこへいっても逃げられない。
「え……やっぱり、キス、しようとした?」
「うん。でもやめた」
「……なんで?」
「今の利奈には、したくないから」
へ。なにそれ。
頭にハテナマークが浮かんだ直後。
西野がガタッと腰を浮かせて、テーブルの端っこに手を伸ばしたかと思えば、紙ナプキンを1枚、すっと引っこ抜いて。
「んんっ…!?」
私の口元に押し当てるから、びっくりする。
なっ……何?
「利奈、唇噛んで」
「んむぅ……」
「そう。いい子」
言われるまま、されるがままに大人しくしていると、西野の手はようやく離された。
赤く染まったナプキンを見てハッとする。
「利奈はこっち」



