西野は言われ慣れてるのか、特になんの反応も示さないままスルー。
それもそれでなんかイヤだけど、聞き返されるよりはマシかも。
西野はプレートに乗ったグラスを、丁寧な手つきでテーブルに置いた。
「どーぞ。果汁100パーセントの、ストレートオレンジジュースですよ」
「ストレート?」
「濃縮還元じゃなくて、しぼったのをそのままジュースにしたってこと」
「へぇ……。えっと、私これ飲んでいいの?」
「利奈のために用意したんだけど?」
「お、お金は?」
「取るわけないでしょ。俺のおごり」
ひえ……。
嬉しい……けど。
「でもなんで?いきなりおごられる理由わかんないよ、なにか企んでるの?」
タオルのおしぼりで手を拭きながら尋ねると、西野は少し瞼を伏せて。
「お詫び」
「え?」
「利奈、目閉じて」



