無気力オオカミくんは、私だけに夢中。




「ハルカ遅ぇ」

「わり。ついでに奥の部屋ちょっと借りる」

「はあ?」




西野は扉の手前で固まっている私の手をとって、無理やり中に連れこんだ。


えっ。これ大丈夫なの?

でも、逆らえないし。


西野と同い年くらいの店員さんらしき人にペコペコ頭を下げると、その人は私を見て「あっ」と声をあげた。



「キミ、もしかしてこの前の」

「……この前?」



私、この人と会ったことあるかな?

とっさに思い出そうとするも、西野がグイグイ引っぱっていくからあっという間に顔が見えなくなる。



進んで、進んで、1番奥。

突き当りの個室に2人で入った。



「そこ座ってな。ちょっと探しもんしてくる。……すぐ戻ってくるから。ドリンク何がいい?」

「え……あの」

「オレンジジュース」

「え」

「でいい?」

「う、うん」