無気力オオカミくんは、私だけに夢中。




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「西野、どこまで行くの?さっきの植え込みのとこ、もう通り過ぎたよ」


「いーから着いてきて。俺、心当たりあるから」



ハラハラしてきた。

心当たりもなにも、猫なんて初めからいなかったのに。



嘘なの、ごめんねって謝るべき?

でも、そしたらリップ探してたのバレちゃう……。




「着いた」

「え?」



西野が足を止めたのは、飲食店の、裏口みたいな場所。
大きな換気扇がウィンウィン回ってる。



西野は、目の前の扉をなんの躊躇いもなく開いた。




「お疲れ様でーす」



そう言って中に入っていく西野。

固まる私。



「利奈、中入って」

「っえ。ちょっと待って、ここ何?」

「俺のバイト先」

「西野のバイト先……えっ」



どいういこと?