……探しになんか、来なきゃよかった。



立ち上がってスカートをはたく。

うつむいたまま「じゃあね」と小さくつぶやいて、西野に背を向けた。




……最低。

女子にあんな言葉吐く男なんて、間違いなく最低。




そうだよ。

西野って元々、口悪かったし。

ときどき、すごい冷たい瞳だってする。




西野は怖い。


簡単にドキドキさせて、簡単に傷つけてくるから。




大丈夫……泣かなくていい。

西野のために泣くなんてもったいない。

私のこと、友だちに“オモチャ”とか言ってたようなヤツだよ。



追いかけてもいいことないんだし、目を覚ますいいきっかけになったと思えば……。




必死で言い聞かせてたのに、とうとう我慢ができなくてなって、溜まってた涙がぽろりとこぼれた。



……もうやだ。



道路に落ちて、染みになって消えていく。





“好き”になんて

なりたくなかった。