パッと見、それらしき物は見当たらない。

でも、ここにはなくても、もう少し進んだらあるかもしれない。

一度そう考えだすと止まらなくて、歩道にかがみこんだままひたすら探し続けた。



広い歩道だし、隅に寄ってれば邪魔にならないはず。



挙動不審に思われるかもしれないけど、悪いことしてるわけじゃないし。
リップが見つかることを考えれば全然苦じゃないよ……。



夢中で茂みを覗いてた私は、近くで誰かが立ち止まったことに気づかなかった。



「何してんの」



ふと手元に影がかかって、暗くなる。

反射的に顔をあげたら、ちょっと怪訝そうな顔をした人物が立ってた。




「う……え、なんで西野がいるの?」

「質問してんのは俺なんだけど」




今日は朝のあの出来事以来、西野としゃべってなかったからヘンに緊張してしまう。