そんな不安を抱えながら1限目を過ごしていると、どんどん自信がなくなってきた。


合コンの女の子たちは赤リップ率高めだったけど、あれは顔が可愛いから映えるのであって、私みたいななんの特徴もない地味な顔には、ぜったい似合わない……っ。



キーンコーン、と1限目の終わりのチャイムが鳴ると同時に席を立った。



やっぱり落ち着かない。

トイレでリップ落としてこよう!



陸人には悪いけど、私にはまだ赤リップをつける勇気がないんだよ。

もっと大人になったら、絶対使うからね。ごめんね。




心の中で謝りながら、トイレまでの廊下を急ぐ。


あとちょっと。


角を曲がったらすぐそこ。



ラストスパートを駆けようと足を早めたとき。



廊下の角から、黒い影がふっと現れて。

イノシシのごとく突っ走ってた私は、ブレーキを効かせることができず。



──────ドンッ。



ぶつかった反動で、後ろ吹き飛んでしまった。


マンガみたいな盛大な尻もち。

こんなことってあるんだと、どこか客観的に感心してしまう。

お尻すごいジンジンする。



顔をあげると、さらにマンガみたいなこと。


ぶつかった相手、西野だった。