何も言えない。
思い当たるふしが多すぎる。
異性関係は言うまでもないし。
私にお酒を飲ませた蒼くんとも知り合いっぽかったし。
ヤバい先輩と繋がってるってのも、あながち嘘じゃなさそう。
西野、髪色とかも含めてめちゃくちゃ不良じゃん。
「西野とはあんま深く関わんなよ」
「うん……わかってる」
「とりあえず、口紅塗んのやめろ。ませすぎだから」
「え……でも合コン、みんな化粧バチバチだった」
「お前にはまだ早ぇわ。あんまり似合ってない」
「えぇ……」
でも、西野は似合ってるって言ってくれたよ。
お世辞だったのかな。
陸人と西野、どっちの言葉を信じていいか分かんないよ。
「陸人、ポーチ取って」
「は?」
「そこのバッグの中。リップと鏡入ってるから」
「何する気?」
「ほんとに似合ってないか自分で確かめるの」
陸人は呆れ顔でバッグを開けてポーチを投げてきた。
チャックを開ける。
まずは鏡と……。
……あれ?
リップがない。