「……利奈、そろそろ起きな」




小声で呼びかけると、「んん……」とわずかに反応して。


うっすらと目を開いたかと思えば。




「……い」

「え?」

「……あついぃ……」

「は……。ちょ、利奈」




マズい。


自分でボタンを外しかけた利奈の手を、あわてて握る。




「脱ぐな」

「んえ……なんで?」

「俺が困んの。それ、手出してって言ってるようなもんだからね」

「やだぁ、あついもん……」




だめだ。伝わらない。




「涼しい外に連れてってやるから、我慢して。家にも帰らないといけないでしょ」

「えぇ?このままでいいじゃん……歩きたくない、」

「俺がおぶってあげる」

「……」



するとなにが不満なのか、利奈は表情を曇らせた。