冬の朝は苦手だ。寒いから。 冷たい空気が肺を刺す。こんなことなら学校サボれば良かった、といつも後悔する。 同じホームの列に並ぶ社会人も同じことを思っているのだろうか。 思ったところで、どちらも叶うことは無いけれど。 ただ、雪が降ったら良いな、なんて。 「あ」 声の主は隣にいた。並んでいた女性が上を見上げている。 それを盗み見て、自分も寒空を見上げた。 白い破片が降ってきていた。