「ごめん」
「私は先輩が好きです。初恋なんです」
「⋯ごめん」
「⋯っどうしても私じゃダメですかっ⋯?」
泣かないって決めてたのに。
振られる時に泣くなんてかっこ悪いって思ってたのに、目尻からじんわりと温かいものが溢れてくる。
「私はっ⋯、私は⋯先輩が好きで、一目惚れでっ⋯」
「⋯」
「温厚な所も、優しい所も、ちょっと優し過ぎる所もっ⋯大切なものを本当に大切にする所もっ⋯大好きなんですっ⋯」
「⋯」
「大好きなんですっ⋯」
好きな所を言葉で挙げろと言われたらキリがない。
サラサラとした茶色の髪の毛も同じ色の瞳も、推しに弱いところも、小梅ちゃんが1番なところも、優しいのに⋯優し過ぎるのにどこか冷徹な所も⋯完璧過ぎない人間らしい所も大好きなんだ。
だけどそれは後付けでしかない。
理屈ではなく本当に自然と片山先輩に惹かれてしまったんだ。