「やーっと来たか。 俺、ちょっと向こうに行ってくるよ」
「うん」
「あ、そうだ。 もうちょい向こうの方にも階段があって、そこを上ると駐車場が見えるんだ。 ちゃんと綺麗に整備されてるトイレもあるよ」
「そうなんだ? じゃあ私はトイレに行ってくるね」
「はいよ、りょーかい」
トイレに行きたい時は また駅まで戻らなきゃいけないのかと思ってたけど、大丈夫そうでよかった。
和真たちのところに駆けていった時雨くんの後ろ姿を見たあと、私も駐車場があるという方向へ歩き出した。
──その後、無事にお手洗いを済ませた私は、誰とも会うことなく元の場所へと戻ってきた。
「あれ?」
だけど そこに居たのは、和真だけ。
時雨くんと伊勢谷くんはどこも居なかった。