私のクラスには女神がいる


名前は本城詩織ちゃんホンジョウシオリ


詩織ちゃんは本当に優しいの


私が文化祭の時にノロマで作業がなかなか終わらない時みんなに批判されて私が泣きそうな時だって


「美里ちゃんは丁寧にやってくれてるのよ?
このクラスの出し物がより良いものになるため
だからみんなも手伝わないかしら?」

詩織ちゃんがフォローしてくれたからみんな

ごめんねと言いながら手伝ってくれた

私達のクラスは校長先生や一般の人達に大好評だった


「全部、詩織ちゃんのおかげだよね!」

みんな口々にそう言う

詩織ちゃんは高校3年の4月に転入してきた

詩織ちゃんは美人で他クラスからも注目を浴びていた

当時、私のクラスでいじめられていた

馬場葵さんがいたんだけど、詩織ちゃんは転校そうそう馬場さんをいじめてる人達を止めた

あの美人で迫力がある言葉にいじめっ子達もたじろいでた

そこからだんだんクラスの雰囲気は良くなっていってこのクラスは一目置かれていた

本当に全部詩織ちゃんのおかげと心からそう思う


ある放課後、私達は詩織ちゃんを抜いてクラス全員で話し合いをしていた

それは、詩織ちゃんのサプライズパーティの計画

普段、詩織ちゃんと仲が良い木村綾乃さんが言い出したのだ

みんな、一致で賛同した

もちろん私も賛成

サプライズパーティはこう決まった

文化祭の打ち上げという名で詩織ちゃんを教室に呼んで詩織ちゃんが入ったら全員でクラッカーを鳴らしておめでとう!と言う、そして誕生ケーキを綾乃ちゃんが持ってくるという流れだ

先生に伝えたら喜んで教室を貸してくれた


なんと、私は詩織ちゃんと途中まで一緒に帰って打ち上げがあることを伝える係になったのだ

「なんか私が言うとボロが出ちゃいそうだし」

と綾乃ちゃんが言ってた

そして、放課後になった

私の胸はドキドキしていた、この役割はかなり重要というか失敗したら終わり

みんなは普段通り帰るフリをしている

よし、そろそろ声かけよう と立ち上がった時には既に詩織ちゃんの姿は見えなかった

「嘘!」

思わず声が出てしまった

やばいやばい

緊張しすぎて周りを見てなかった

私は慌てて、教室を飛び出した

すると、階段の方向に曲がる詩織ちゃんが見えた

そのまま下駄箱に行くのだと思ったのだか

下駄箱とは逆方向の旧校舎に向かって行った


え…旧校舎になんの用があるの?

私は不思議に思いながらも後をついて行った


この高校にずっとある旧校舎


なぜか取り壊されないで残ってる古びた校舎


もちろん生徒は立ち入り禁止になってる

今日の気温は暖かいはずなのに寒気がしてきた

その旧校舎の扉を開けて、詩織ちゃんは入っていた

さっきからなんとなく嫌な雰囲気が出ていて

一刻も早くこの場所から離れたかったけど

私が逃げたらサプライズパーティは台無しで

今度ばかりは許されない

私は意をけして旧校舎の古びた扉を開けた

ギィと扉が音をたてた

ガンッガンッと2階から何か音が聞こえてきた

「な、なに…」

旧校舎には私と詩織ちゃんしかいないはず

ガンッガンッという音は鳴り止まない

まさか、幽霊…!?

でも帰るわけにはいかない

もしかしたら詩織ちゃんが危ないかもしれない

私は大き深呼吸をして震える足で2階へと向かった

2階には教室が3つ

音は一番奥のクラスから聞こえてきてるようだ

一応、2クラスも確認したが詩織ちゃんはいない

音が聞こえるクラスまで辿り着いた

そっと扉の隙間から覗いた

「あ」

私は慌てて口を抑えた

そこにいたのは、詩織ちゃんだった

何かを喋っている、私はしゃがみこみ耳を済ませた

「今日も馬場は陰気臭くてイライラするしよ
あーアイツのこと殴りたいわ、もっといじめられて私が来る前に自殺でもすりゃいいのに」

と壁を思っいきり蹴った

「綾乃は詩織、詩織ずっと近寄って来てきもい
お前はレズかよ、まじきもいんだけどアイツ
綾乃って口臭いし死んでほしいわ」

とまた壁を蹴った

私はしばらく呆然とその光景を見ていた

あれは詩織ちゃんなの………?

私は何か悪い夢でも見てるの…?

そう思い私は頬をつねったが普通に痛かったし

詩織ちゃんはずっと何かの不満を言いながら壁を蹴っていた

普段の詩織ちゃんとは異なる低い声

ドンッドンッという音はこれだったのか

詩織ちゃんの裏の姿を見てしまった私は

途端に怖くなりその場から離れようとした瞬間

スマホから着信を知らせる音楽が鳴ったのだ

私は慌てて着信を拒否したが

扉はゆっくり開き笑顔の詩織ちゃんが私を見下ろしていた


「し、詩織ちゃん………!」

詩織ちゃんの笑顔が怖くて私の声は震えていた

「あら、美里ちゃんじゃない
どうしたのかしら?」

詩織ちゃんが笑顔のままいつも通りの話し方で聞いてくる


「あ、あ…の私み…んなに…あの…詩織ちゃんを呼んでくるようにい…われて…」

私はどもりながらも話した

「あら、そうなのね
美里ちゃん行きましよう」

詩織ちゃんは私に手をさし伸ばした

「う、う…ん」

私は詩織ちゃんの手を握り立ち上がった

しばらく無言で歩いてると、いきなり詩織ちゃんが立ち止まった

「ねえ、美里ちゃん
さっきあなたは何か見た?」

いきなり詩織ちゃんに聞かれた

「え……あ……の
詩織ちゃん……な…にかあるなら私でよければ聞…くよ?」

私は勇気を振り絞って詩織ちゃんに言った

すると、数秒の沈黙の後詩織ちゃんの顔が真顔になり私の肩を思っイキリ掴んだ

「はあ?笑わせんなよお前
ノロマでクズなお前が私の話を聞く?
じゃあ私のストレス解消の為に殴られてくれる?」

と低い声で言われた


「ご…めん…なさい」

私はただ謝ることしか出来なかった

すると、詩織ちゃんが笑顔になった

「そうよ、あなたはね何も見てないの
私は図書室にいたのよ」


私は頭を上下に振った

「じゃあ、あなたは教室に戻ってね」

詩織ちゃんが笑顔で手を振ってる

私は震える足をなんとか動かし教室に向かった


「も〜う、美里遅いよ
私、電話したのに」

と綾乃ちゃんが言った

「ご、ごめん…」

「それで、詩織は?」

私は先程の光景を瞬時に思い出したが詩織ちゃんの最後の言葉を思い出した

「し…詩織ちゃんは図書室にいて
ちょっともうすぐ読み終わるから読んでから
来るって」

私の口からこんな嘘が出てきた事に驚いた

「りょうかい〜
じゃあみんな準備しといてね
美里は詩織が来るか廊下で見てて」


また私が詩織ちゃん担当なの…

詩織ちゃんのあの笑顔と真顔の顔を思い出し身震いした

すると、後ろから肩を叩かれた

「ひっ」

私は慌てて振り替える

「美里ちゃん」

詩織ちゃんが笑ってる

今では詩織ちゃんの笑顔が恐怖でしかない

私は慌てて教室に入った

「き…き…たよ!詩織ちゃん…」

私はそのまま教室の隅に行き、クラッカーを持った

「よーし、みんなクラッカー準備」

綾乃ちゃんが大声で言った

すると、教室の扉が開き一斉にクラッカーが鳴った


「誕生日おめでとう〜!!」


みんなが口々に言い始めた



「みんなありがとう」

詩織ちゃんはそう言いながら涙を流し始めた

「やだ〜詩織泣いてるよ」

綾乃ちゃんが詩織ちゃんを抱きしめた


「私、このクラスが大好き」

詩織ちゃんがそう言うとみんな一斉に拍手をし始めた

私は離れた所からその光景を見ていることしか出来なかった