運よくあの2文字だけ

忘れてたりしないかなぁ。






「……はぁー」



ちょうど授業が終わったというのに、ため息。

今日はこれで何度目だろう。


目が覚めてもメイクをしていても、登校中も授業中も、昨日のことを思い出して穴に入りたくなる。



昨日の今日で羞恥と後悔が綺麗さっぱりなくなってるはずもなく。


なんなら今日のほうが濃く、大きくなってる気がする。



昨日は皆の帰り際ぎりぎりにもう一回顔を出せたは出せたけど、結局未來くんのことは恥ずかしくて見れなかった。




当分未來くんに合わせる顔がないよ……。


校内では滅多に神雷と出くわさないのが不幸中の幸い。




「海鈴ちゃん、今日ため息ばっかりだね。やっと放課後になったのに。何か悩みごと?」


「あ、もしかして海鈴ちゃんもこのニュース見て……」




「はぁー……」




「ダメだ、聞こえてない」


「ニュースのことじゃないのかな?」


「いやあれは恋わずらいでしょ」


「恋!?」




「えっ、今何か言った!?」




「……ほらね。『恋』に反応した」


「海鈴ちゃんが恋か……。相手誰だろ」


「ダメ男だったらあたしらがぶっ飛ばす」




班の同じ友達2人が何やらコソコソ話しているが、右から左に流れて頭に残らない。


自分でも引きずりすぎだって百も承知なんだけど……。