だって未來くんは「かわいい」って言って相手を喜ばせようとしたんでしょ?


皮肉でも嫌みでもないのに、それのどこが悪いことなの?



正しいかはわからないけれど、間違いなくいいことだよ。




「呪いなんて言わないでよ」


「……っ」


「褒め上手な未來くんが、わたしは好きだよ?」


「…………え?」




あれ?あれれ?


なんで未來くんの顔がだんだん火照ってるの?



わたし、おかしなこと言った?



あ、照れてる?


それとも、怒ってる!?

わたしなんかがわかったようなこと言うなって!?


……あ、あり得る。



「海鈴ちゃん」


「は、はひ!!」



好きな人に名前を呼んでもらったのに、ちっとも気分が上がらないどころかビクビクしてしまう。


お、怒ってる?

……怒ってそう。顔真っ赤だもん。


ど、ど、どうしよう!謝ったほうがいい!?



「あ、あの……!」


「俺のことが好きって、どういう意味の好き?」


「……へ?」



すき?
スキ?



好き?



どうして今その話を?


ていうか。

どうして未來くんにわたしの気持ちがバレてるの?



何が何だか把握できず、パンク寸前の脳内をフル回転させれば、先ほどの自分の声が何度も何度も再生される。



『褒め上手な未來くんが、わたしは好きだよ?』


――わたしは、好き、だよ。