陸斗と希実ちゃんは仲が良くて、周りからは「美男美女カップル」なんて言われていいる。

もちろん本当に付き合っているわけじゃないけど、そう言われているのを見る度に、つらいんだ。

それに、希実ちゃんも陸斗のことが好きだって知ってる。

そんな陸斗に、詩月と私は応援すると言ってしまったんだから。

今まで誰にも言えなかったこの気持ちは、気づいた時にはもう消すことなんてできないぐらいに大きくなってしまっていた。

いつまでこんな苦しい思いをしなきゃいけないんだろう……。

 *

夏休み前。

期末テストが終わってあとは夏休みを待つだけになった7月の下旬のある日のこと。

私は日直の仕事の学級日誌の記入をしていた。

放課後でクラスメイトはもうあまりいなくなった教室から出て書き終わった学級日誌を提出しに職員室へ行った帰り。

「楠木……」

聞き慣れた大好きな声が聞こえてきて、私は反射的に立ち止まって息を殺した。

盗み聞きなんていけないと思いながらも聞き耳を立ててしまう。

「俺、楠木がずっと好きだったんだ」

「辻井くん……」

「俺の彼女になってくれ」