「リッキーですか?」
「預かったはいいが、俺には扱い方がさっぱりわからない。星は小さい頃から犬を飼ってたんだろう? 扱いも慣れてるだろうと思ってね」


そういえば、お見舞いに来てくれたときにそんな話をしたことがあった。


「たまにリッキーの相手をしてもらえないか」


加賀美にしてみたら野々花はちょうどいい助っ人といったところだろう。
でも野々花にも嬉しい誘いだった。大好きな犬と触れ合えるうえ、加賀美に会う口実になる。


「はい、喜んで」


野々花がそう答えると、加賀美はホッとしたように笑った。