「締め切りは明日じゃなかった?」
「だから今やってるんじゃないですかぁ」
一週間前に依頼されたのに今から取り掛かるなんて、どう考えてもおかしいだろう。
その間に大忙しでほかの案件に関わっていたのならまだしも、瑠璃は大した仕事を任されていない。
「私、毎日確認してたよね? 輸入雑貨店のリサーチは間に合いそう?って。そうしたら間宮さん、あと少しでできますって。私がチェックする時間も必要だから、今日中にほしかったんだけど」
「締め切りは明日なんですもん。間に合うじゃないですか。星さんに聞けばちょちょいのちょーいだし」
言葉も出なかった。
瑠璃は悪びれもせずに大きな目を細め、えくぼを浮かべて笑う。
これが仕事でなかったら、かわいい笑顔だねと和やかムードになるところだろう。でも今はそうではない。大事な仕事の最中なのだ。
ふつふつと込み上げてくる怒りをどうにかこうにか抑える。
(今ここで怒っていたって始まらないわ。とにかくリサーチを仕上げるのが先決よ)
それに、自分の目できちんと進捗状況を確認しなかった野々花の落ち度でもある。



