独占欲強めの部長に溺愛されてます


「とにかく、もう一度教えるから、今度こそメモをとってくれるかな?」


これ以上ないほどの猫なで声で優しく言う。それもこれも、加賀美から『最近の若い人は委縮する傾向があるから、あまり強く言うのは避けた方がいい』との忠告があったからだ。

でも野々花と瑠璃は、たった二歳しか年の差はない。年齢がどうこうではないのだ。個人の資質の問題。

ところが、優しげに言った野々花を瑠璃がじっと見つめる。
なにかと身構えると、これまたとんでもないひと言が放たれた。


「星さん、そんな怖い顔していたら幸せが逃げちゃいますよ? 眉間の皺がすんごい有様になってますし」
「な、な、な……」


もはや言葉も返せなかった。〝すごい〟どころじゃない。〝すんごい〟ときたものだ。完全になめられている。

(誰のせいでこんな顔になってるのかわからないの? 私だって、眉間に皺なんて刻みたくないのにー)

握った拳がプルプル震える。
ただでさえ野々花は美人の部類ではない。かわいいと言われても、そこに〝そこそこ〟という冠が付く。