そう声をかけてきたのは、向かいの席の松村だった。
「星さんね、木曜日にキミが放り出した仕事を遅くまでやってくれてたんだよ」
なんてナイスアシストなのだろうか。天からの声に聞こえる。
「あっ、そうでした! 私、すっかり忘れてましたぁ!」
瑠璃はハッとしたように立ち上がったかと思えば、頭を深く下げた。
「星さん、すみませんでした。それと、ありがとうございます」
本当にそう思っているのかはべつとして、言わないよりは断然いい。
野々花がお礼の意味で松村に軽く微笑むと、彼は軽く親指を立てて深く頷いた。
瑠璃にこれ以上かまっている時間はない。今日は二件、提出するレポートがあるのだ。
野々花は気を取り直してパソコンに向かった。



