独占欲強めの部長に溺愛されてます


万人に対する優しさのレベルに違いない。

やけに騒がしい鼓動を宥めすかせ、野々花は降車駅まで揺られた。

プシューと音を立ててドアが開く。いつもなら後ろから強く押し出されて転びそうになることもあるのに、今朝はそれもない。
それもこれも加賀美がかばってくれたおかげだろう。


「あの、ありがとうございました」


人の波に流されながら、隣を歩く加賀美にお礼を言う。


「いや。あの混雑は女性にはキツイだろ」


涼やかな笑顔が眩しい。
野々花だからガードしたつもりはないのだろう。女性に対してああいった気遣いができるのだから、モテないわけはない。

でも、失恋相手にこれ以上関わらない方が自分のため。
野々花は改札を抜けると、「では、お先に行きますね」と軽く会釈し、小走りで加賀美との距離をとった。


「あ、おいっ」


加賀美に呼び止められたが、足を止めずにそのまま次なる人の波に飛び込んだ。