独占欲強めの部長に溺愛されてます


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加賀美に指定された店は、会社から電車で二駅のところにあるようだった。
『一休』という店名からして日本料理だろうか。

加賀美に告げられた住所をスマートフォンのマップアプリに入力して、駅から歩く。九月中旬のまだ少し湿り気のある空気にまとわりつかれながら足を進めていると、風に乗って煙っぽい匂いが漂ってきた。

(なんの匂いだろう?)

鼻をクンクンさせつつマップを確かめると、まもなく目的地のようだった。
顔を上げて店を探す。


「一休、一休……」


小さく呟きながら歩いていた野々花は、目に入ったものを前にして足をぴたりと止めた。

店先に揺れる赤ちょうちん。そこに〝一休〟と書かれていた。
でも、どう見ても日本料理や懐石料理の店には見えない。

(……居酒屋? ううん、違う。やきとりだ)

手もとのマップと現在地が重なる。間違いない。ここが加賀美に指定された場所だ。

(嘘。ここなの? やきとり屋さん?)