が、今はドキドキしている場合ではない。
「あのあの、いつからそこに……?」
ドアが開いた気配はなかった。
それとも、野々花があまりにも夢中になって叫んでいたから気づかなかったのだろうか。
「そうだな、五分? いや十分前だったか」
加賀美が腕時計を確認して答える。
(どうしてそんなに前から? 入ったときに人の気配なんて感じなかったのに)
この部屋に入ってからのことを懸命に思い出そうとするが、なにしろ野々花は頭に血が上っていたため、怒りの感情しか思い出せない。
どちらにせよ加賀美が現場に居合わせたのは間違いない。
(あの魂の叫びを聞かれていたなんて! それも加賀美部長に……! どうしよう!!)
今すぐここから逃げ出したいほどの恥ずかしさに襲われる。顔ばかりか、全身の血流がこれ以上ないくらいに速くめぐるのを感じた。
「門倉(かどくら)に『最近、備品庫からおぞましい声が聞こえる』って相談されていてね」



