「ここは?」 加賀美がそう囁いた次の瞬間、唇にやわらかな感触を覚える。視界が加賀美で埋め尽くされたときに初めて、キスされたのだと気づいた。 雨音が止み、すべてがシャットアウトされる。まるで透明のベールに包まれたかのよう。 ふたりのほかにはなにも存在していない感覚だった。 優しく食むようにしてから、加賀美の唇が離れていく。野々花は瞬きもできずに、ただ茫然と立ち尽くした。