パネルの開ボタンをタッチした加賀美が、野々花たちを先に降りるよう促す。
「ありがとうございます、部長」
口々にお礼を言いながら、松村を先頭にして降りた。
「ね、星さん。いつがいいですかね。あ、今夜でもいいですよ。俺、空いてます」
松村に引き下がる気はないようだ。今日はずいぶんと食い下がってくる。
でも野々花には〝ミッション〟があるから無理なのだ。
「ごめんね、今夜はちょっと」
「じゃ、明日は?」
いったいどうしたというのか。これまで社交辞令としてやり取りしてきたのに、いきなり本気モードになられては戸惑うばかりだ。
野々花が返答に困っていると。
「松村、星なら明日も明後日も無理だ」



