「那也―」

由羽くんの誕生日から三日後、朝のホームルーム前の時間に、由羽くんが私の教室の前までやってきた。

一気に視線を集める王子。

けれど私はみんなに、王子の侍女(じじょ)とでも思われているのか、特に嫌がらせとかされないんだよねえ。

実を言うと由羽くんとは今、顔を合わせづらいんだけど……それは私だけみたいだった。

「おはよう」

「おはよ。今日ちょっと頼み事あるから、帰り待ってていい?」

「部活待ってるの?」

「うん。どうしても早く頼みたくて」

「時間……大丈夫?」