『~~~っ』
「? 那也?」
返事がない。
「那也、やっぱり可愛いね。今日話して、少しは那也のこと知れたから言ってもいいかな……?」
今日の、那也の全部が可愛いと思った。
あたふたしているところも、困っているところも、嫉妬したって言ってくれたところも、大声で言ってくれたとこも。
全部、俺には唯一可愛い存在だ。
羽咲やなゆも周囲から可愛いと言われることが多いけど、俺にはクエスチョンマークだった。
ふーん、そうなんだ? 程度で、俺は羽咲たちを可愛いと思ったことはなかった。
ただ、父さんと母さんを見ていて、『可愛い』と思う人はたった一人でもいいんだろうな、俺はまだ見つけてないだけかな、なんて思ったりしていた。
そしたら、その通りだった。



