「いや、悟られてはいないと思う……」
「なにかはあったんだな?」
そう重ねると、景はふらりと横に倒れた。
ベッドの淵に頭を引っ掛けて、とどまる。ななめだ。
「……兄さんも、知らないんだよな?」
「なゆが誰を好きか?」
「うん……」
「知らないって言ってた。母さんのが知ってるかもしれないけど……」
いや、うちの相談窓口は何故か父さんの一択だからな。
なゆが母さんに相談するのは考えにくい。
「……なゆに応援された」
「なにを」
「好きな子」
「……話が繋がるように喋って」
「…………」
ごろり、と、景は今度こそ床に転がった。



