「なゆお姉ちゃん、ちょっと手伝ってもらってもいい?」
「うん。今行くね」
あ、父さんの差し金だ。
と、なんとなくそう思った。
父さんはまだ帰ってないから、連絡を受けた母さんの差し金とも言うべきか。
……俺に景と話しろってことかな?
なゆが出て行って、景と取り残される。
「で? 景、お前の方は?」
胡坐から片膝を立てた格好に変えて、景に話を振る。
景となゆの誕生日は、俺より一か月後。五月十五日だ。
ビクッと震える景の両肩。……なんだ?
そしてダラダラ冷や汗を流し出す。
「え、なに、失敗したの? 悟られた?」
景の異常に、少し身を乗り出して訊いた。



