「あの、そろそろ手を離してもらえないと、その……」
「ああ、ごめん」
握ったままだった手を解く。
那也の手、熱かったけど、熱とか大丈夫かな?
「那也、手ぇ熱いけど熱ない?」
「え? ないけど……」
「そう? 体調悪いときは言ってよ?」
「うん、問題ないよ」
「あと、那也……さっきの言葉に返すようで悪いんだけど……」
「なに?」
「俺、顔と名前が一致する女子がいる気がしない……申し訳ないけど……」
「え……」
「そもそも、女子の名前とか憶えてない……」
男子連中とはふつーに名前呼びだからわかるけど、女子ってあんま免疫もない……。



