学園の王子に気に入られたようですが、この関係って王子と侍女ですよね?-六花の恋ー【完】


呼びかけると、ぴくりと髪が揺れた。

「要求するのもヘンな言葉だけど、「おめでとう」って、言って?」

「………」

一歩。那也に距離を詰める。

また髪が揺れた。

「那也からそれがもらえたら、一番嬉しい」

そう言ったくせに、俺は那也の握られた拳に触れていた。

包み込むように、そっと重ねる。

「那也。今日、俺はそれがほしい」

那也からの、言葉が。

俺が退かずにいると、那也は俯いたまま口を動かした。