「え、八つ当たり? なに、那也に嫌な思いさせた奴がいるの? どいつ? ぶっ飛ばしてくるから教えて」
問うと、那也はぶんぶん首を横に振った。
「違う違う違う! そういうんじゃなくて、私の勝手な嫉妬って言うか――」
「? どういうこと?」
嫉妬? やっぱり那也に嫌な思いをさせた奴がいるんじゃないか。
一転、それまで勢いを失って、那也は足を停めてうつむいた。
「……み、みんな、が由羽くんのお誕生日知ってるのに、私、知らなかったから……」
「………へ?」
え、やっぱりどういうこと?
俺も立ち止って那也の続きを待つ。
俺の誕生日がどうした? んなの、俺も今まで忘れてたわ。
「……み、みんなは……」



