「ゆ、由羽くん……? ご覧の通り私は無傷ですよ……?」
元気だし怪我もないし。私がそう続けると、やっと腕の力がゆるんだ。
「………」
見上げる私と、見下ろす由羽くんの視線が交わる。
唇を噛んで目元は泣きだしそうで、そう言えば由羽くんって泣き上戸なんだっけ、とこんなときだけど思い出していた。
「心配、かけてしまったみたいでごめん。でも、あのとき犯人を見逃すことは出来なくて――ってか、咄嗟に竹刀握ってて――」
反射的にひったくり犯を捕まえる算段を頭の中で立てていて、それを実行に移すことを邪魔する考えは欠片もなかった。
「……那也の正義感を否定しないし、悪いことだとも思わない。でも、那也は女の子なんだよ⁉ 怪我したらどうする! いや怪我しても俺の嫁になればいいけど!」
………はい?



