「で? アイドルさんと取り合いとかなの?」 ……母さんより羽咲が身を乗り出して来た。 「いや、そいつはそいつで片想い相手がいるんだと」 「ほう? なかなかにややこしそうですなー」 にやにやする羽咲。 こういうとこ、何故か叔父と叔母に似ている気がする兄だ。 「まあ最初に逢ったのは入学してすぐなんだけど、なんか面白いから構ってるうちに、わかった」 好きだ、って。