ふっと、紙袋に向いていた視界に、四角い何かが映った。 「?」 顔をあげると、薄桃色のそれを持っているのは由羽くんの手で、私を見ていた。 「……へ?」 「お礼。これは手紙じゃないけど、那也に」 「えっ……私ももらっちゃっていいの? お祝いしてないよ?」 「言ってくれたろ。『おめでとう』って。あれが一番嬉しかった」 そういう由羽くんは、初めて逢ったとき同じ柔らかい笑顔で。 ふと、急に、何故か、こんな言葉が頭の隅を駆け抜けた。 すき。