「そればかりは無理だな。
朔夜の妹だから守ってやりたいが、コイツの親友となれば話は別だ」
及川千尋を除く幹部達はよほどなずなを嫌っているのだろう。
なずなの友達という時点で何もしてない私も裏切り者というレッテルを貼られてしまったのだ。
「優生。月那は俺の妹だ。別に姫になって密接に関われなんて言わねえけど、守れる場所だけでも作ってやれねえか?」
「月那は今日のことを忘れてほしい。それにお前1人なら朔夜が守ってくれるだろう?」
痛いところ突かれたな。
確かに朔夜は強すぎるから私1人を守るくらいなんてことないんだ。
だけど朔夜は私じゃなくてなずなを……好きな子を守りたいに決まってる。
潜入捜査だけじゃなくて、なずなを守りやすい環境にするには私も桜蘭に入らなくてはいけないのだ。
すると私の視界の端で何かが動く。
「……私のことは信用しなくてもいいから、月那ちゃんだけは何があっても守ってください!」
それはなずなだった。
こんなにも震えてるのに、心的外傷の原因となる張本人の前なのに、頭を下げて私のために必死になってくれてる。
「私をどんなに憎んだって嫌ったって構わないけど、月那ちゃんだけは何があっても笑ってて欲しいの……」
なんで桜蘭はバカなの、そんなに必死に訴えるなずなを見てまだ裏切り者だと思ってるの?



