「エレナをこんなにしてまで傷つけて、お前は満足だったのか!?」


「お願い聞いて、私はそんなのしてな──」


「嘘に決まってるだろ。そんなこと言う暇があったらさっさと姫を辞めろ。お前はもう不要だ」



桜蘭の姫は2人いる。


どうやら、1人の姫がエレナというもう1人の姫を虐めていたようだ。


だが、姫はその行為を否認している。



「あなたにはもう会いたくない……っ」


「今すぐ辞めねえとどうなるかわかってるよな?」



エレナを守るように立つ桜蘭の幹部達に、もう聞く耳持たないと感じた姫は諦めて外へ出た。



「信じてたのは私だけだったんだ……っ」



誰もいない暗闇で悲しみに明け暮れた姫。


涙を流す瞼の裏で思い浮かぶのは、幹部達との楽しい日々。


もうそれは二度と来ないと頭では理解したくなくても、身体が理解してしまったのだろう。