「まだ姫と接触してないからな……まだよく分からない。だけど、とても犯罪とかには染まっているようには見えなかった」


「それもそうね、そこは追々調べていこう」



俺は首を縦に頷いて、月那が再び口を開くのを待ちながら先程の出来事を思い出していた。


深夜1時くらいのことだろうか、桜蘭の倉庫に入ったが、誰もいなかった。



『ここが倉庫だ。好きに使うといい。
ちなみに新入りも他にいるからな、明日歓迎会を開く。お前も来るといい』


『優生、本当にコイツを引き入れるんだな……。
朔夜、だっけ。オメーをまだ認めたわけじゃねーからな!』



赤髪──渋谷 凛太郎(シブヤ リンタロウ)はまだ俺を認めていないようだった。


例の短気で口悪いヤツだ。


まあ、認めないのは本来正しいことだ。俺が桜蘭を滅ぼす敵なのだから。



『僕は藤原 光希(フジワラ ミツキ)!
何かあったら容赦しないから、そこんとこよろしく〜』


『ああ、よろしく』



ニコニコしながら発した言葉はとても含みがあって、可愛らしい容姿が台無しのように思える。