双星の煌めきは月夜に魅せられて


普段運動してないせいで、走って間もないのに息が切れて格好がつかない。


それでも、それでも。


その言葉だけはなかったことにしたくない。



「……いつも傍にいてくれたから、ずっと安心してた。月那がどこにも行かないんだろうなって……そんなの、あるわけないのに」


「うん」



優生は繋いだ手を離すことはなく、そのまま話し始めた。



これで予想が外れるなら、死んでもいいと思うくらいにこの後の展開を読めてしまう。


緊張、幸せ、ドキドキ……たくさんの感情を噛み締めたくて、相槌をうつ……ことしかできない。



「人生で1番焦った。月那が離れていくってこんなにも寂して辛いものなんだって、こんなにも放したくないって思うのは初めてだ」


「う……なんでもない。ごめんなさい」



嬉しいと言ってはダメよ、まだ優生が話してる途中でしょう……?


高揚感、興奮。


それだけじゃない、今までのことも含めたら数え切れないほどの感情を思い出せた。