双星の煌めきは月夜に魅せられて







「……エレナ」


『本当に良い大人が情けないよ』


「ううん。パパは情けなくなんかない……っ」



本当に査問は辛いものだとよく聞くし、本でその体験談をいくつも読んだ。


パパは本当によく頑張ったんだよ……決して情けなくなんかないよ。



『……三村胡桃から君に伝言があるって。
僕からも色んな情報を手に入れたから、そこも交えて月那に頼みがある』


「……うん、分かった」



これが終わればひと段落着くのかな。


三村を逮捕して、たくさんの人が救われるのかな。


もう桜蘭に会えないことを思うと、寂しくなるけどそこは我慢だ。



『まず、あの組長は桜蘭を乗っ取る気らしい。
理由までは知らないけど、突然三村胡桃と及川千尋くんにスパイとして桜蘭に入ったそうだ』


「理由は分からない、か……」


『なずなちゃんのことに関しては、なずなちゃんを追い出せば桜蘭の勢力が下がるからだと。朔夜から聞いた理由も多少はあるかもしれないけど、そう言ってた』


「そう……」



朔夜から聞いた理由……なずなを巻き込みたくないからだったっけ。