双星の煌めきは月夜に魅せられて


本当にしんどかった。だから心折れて、認めようかと思ったことが幾度なくあったそうだ。


だけど、血が繋がってないとしても大事な息子と娘のためにも、それはダメだと何度も心を奮い立たせた。



自分の息子や娘にはただ優しさだけを注いだだけじゃない。


時には厳しく叱ったりだってしているけど、それ以上にたくさんの愛情を与えたつもりだ。



「──あの!」



すると、バンッと大きな音を立てながら乱暴に入ってきたのは、胡桃色の髪の少女だった。


佐藤警視監はその少女に覚えがあった、何故なら写真で何度も見てきたから。



「三村胡桃……どうしてここに」



査問官達は驚きと憎しみを込めた目を彼女に向けた。


驚くのも無理もないだろう、隣にいる佐藤警視監も驚いているのだから。



「彼を早く解放してください!佐藤警視監……朔夜くんは何もしてないです!」



手持ちなど何もない。


あるとするなら、言葉だけ。


それはお互い様で、彼女は同じ土俵に立って、どんどんと査問官と佐藤警視監の元へ歩く。