「でも、なんで終わったの?」
『……情けない話なんだけど、助けられてな』
助けられた……誰に?
『エレナはなんか用事があるって朝からいないよ』
『査問は時期に解放されるよ』
『月那ちゃん達"も"大変だろうけど、お互い頑張ろう』
『月那ちゃんは何も悪くないよ』
走馬灯のように脳内で駆け巡っていき、その誰かが分かってしまった。
「……三村胡桃はなんて言ったの?」
『自分はクスリを辞めたいから、取引をキャンセルにしただけであって、朔夜くんは何もしてないって必死に訴えてたよ』
エレナ……まさか、直談判したっていうの?
上手くいけばパパを解放できるけど、失敗したら……それこそエレナが訴えられるのに。
「どうして……そこまで」
『"愛"を知ったからだと──はっきりと言ったよ。愛する人の苦しむ顔を見たくないと』
どこまでも深い彼女の愛がひしひしと伝わってくる。
目が潤んだ私に、パパは今日の出来事を教えてくれた。



