とはいえ、それとこれとでは別の話になってしまう。
パパを助けるためなら……それでもやるしかない。
スマートフォンを取って、エレナの番号に電話をかけ始めた。
「……」
せめて、出てくれたら……。
10回目、11回目……呼び出し音が鳴るけれど、出る様子は見受けられない。
これは切った方がいいなと思い、電話を切ろうとしたその時。
『月那ちゃん?』
「え?千尋?」
エレナにかけたはずなのに、何故か千尋の声が聞こえた。
どうして千尋が出たのか……もしかして、千尋が今いるところは谷口組の本家なの?
「まあいいや。ねえ千尋、エレナと話したいことがあるんだけど、代われないかな?」
『……えっと』
しばらく間が空くと思いきや、歯切れの悪い返事で、私は何か起きたのだと察知した。
そして私に簡単に言えないということは、私もしくは朔夜が関わることなのだろうか。



