「待って、千尋!今のどういうことなの?」



エレナ……いや、今は三村胡桃と言った方がいいだろう。


胡桃は千尋に向かって、先程聞いた事実を信じられずにはいられなかった。



「どういうことって、言葉の通りだよ。朔夜と月那のお父さんが査問にあった」



いくら朔夜と月那が口外することをしなくても、暴力団である千尋ならその情報を簡単に入手することができる。



「胡桃がクスリを辞めたいから取り消した大きな取引で君を逮捕する予定だったみたいだよ」



もう胡桃は組長の味方ではない。


そう思った千尋は月那から聞いていた情報を胡桃に打ち明けた。



「だから朔夜くんがあんな顔してたんだ……っ」


「胡桃も朔夜も何も悪いことしてないよ。時期に査問も解放されると思う」


「……っ、でも!」



朔夜の表情が浮かないのは、一週間ほど前のこと。


そんな前から自分のせいで苦しんでいたと考えるとエレナは身が引き裂かれる思いでいっぱいになる。


解決策はある……だけど、それはとても勇気のいることで。


しかし朔夜のことを想えば、居ても立っても居られなかった。